婚外子差別撤廃について

公明党の婚外子差別撤廃に関する主張によると、改正したい条文は3つくらいあるようです。

  1. 民法900条4号ただし書き前段:「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一と…する」。
  2. 戸籍法49条2項1号後半:「嫡出子又は嫡出でない子の別」(「届書には、次の事項を記載しなければならない」)
  3. 所得税法2条30号:「寡婦 次に掲げる者をいう。」イおよびロの「夫と死別し、若しくは夫と離婚した後婚姻をしていない者又は夫の生死の明らかでない者で政令で定めるもの」

1つめの民法900条4号ただし書前段は、平成25年9月4日の最高裁大法廷違憲の決定がなされました。この最高裁の決定を以って、国税庁では、民法の改正を待たずして、すでに実務的には婚外子の差別撤廃がなされています。公明党は「民法だけでも成立させることは重要だ」などとして、表向きは民法改正に尽力しましたとか言いたいんだろうね。もちろん、これなら創価学会婦人部を丸め込める。

2つめの戸籍法は、自民党の原理主義者によって「嫡出子と婚外子の区別は法律婚を重視する立場から重要だ」といった意見が出されており、改正しないようです。すでに国税庁で決着がついていることを、民法改正したとして頑張った感をだして、戸籍法改正はシラを切るあたりに、公明党の限界があるのかなと思います(もちろん、公明党に期待しすぎても意味ないです)。

3つめの所得税法改正は、婚外子差別というより事実婚差別といえます(結果的には婚外子差別にいたるんだろうけど)。母子及び寡婦福祉法6条3項で「この法律において「寡婦」とは、配偶者のない女子であつて、かつて配偶者のない女子…」とあるので、いちおうの保護はされるみたいです。とはいえ、保護とかしておいて、所得税法で税金はしっかり取るという、配ったお金は使わせないみたいな政策でなによりです。

ちなみに、婚外子差別は、キリスト教か儒教が由来となっているのかと思っていたけど、キリスト教圏の欧米の法律では、2000年ころまでに改正されて婚外子差別規定はなくなっているし、儒教の文化が強くキリスト教信者が多い韓国でも婚外子差別規定はないみたいです。したがって、婚外子差別をしたがる思想は、神道に由来するか明治期に作られた「伝統」なのかなと思ったりしています。

差別を好む自民党の「伝統」原理主義者たちは、差別的な発言が多く書き込まれる2ちゃんねるヘイトスピーチと、とても良く馴染むと言えます。一方で、自称「人権の党」が、差別を好む政党に擦り寄ってる構図が、見え隠れしていて楽しいですね。

てかさ、いちばん税金を無駄遣いしている奥様たちの特権を許さない市民の会とかないの?